
2003年にTVアニメとして全26が放送されたガングレイヴ
当時リアルタイムで視聴していておもしろかった記憶から再試聴をすることにした
検索するとdアニメストアで視聴できるらしいのでさっそくインストール
ドコモユーザーだとすぐにみれるのでオススメです
視聴した結果やはり名作だったので紹介したい
★男たち
この作品の魅力は裏世界でいきる男たちの描写だ
主人公のブランドン・ヒートは無口だが仲間思いで優しい性格
頭の良さとカリスマ性を持った野心家ハリー・マクドゥエル
本作はこの2人の生き様を見事に描ききっている
話はブランドンとハリーがまだチンピラでスラム街で小さな悪さをしているところからはじまる
2人は恵まれてはいなかったが仲間たちとバカをやって毎日を生きていた
しかし、あるとき街にマフィアがあらわれ仲間を殺されてしまう
報復すらできない2人
自分たちが無力で奪われる側の存在だと嫌でも気づかされるハリー
この事件から彼は奪う側の人間へとかけあがる
そんなハリーと一緒に行くと決めるブランドン
ブランドンはハリーの変貌を見守りながらも決して裏切らず彼とともに歩み始める
●組織「ミレニオン」との邂逅
仲間を殺したマフィアに敵討ちすらできない2人を
裏世界の長「ミレニオン」のスイーパーであるベア・フォーケンは
「なにもできないガキが」
と2人に言葉を投げ捨てる
また組織の幹部であるランディ
彼は無鉄砲なハリーにこう告げる
「むやみやたらに人を殺すのはマフィアの本質ではない」
「死んだ人間からはなにも生まれません」
「見えない力で相手をしばる それが正しい力の使い方です」
悪の教本ともいえる進言にハリーは突き動かされる
彼らにとってミレニオンとの出会いは劇的なものだった
またそこで出会う男たちは危ないほどの魅力を放っている
上記の2人をはじめ
・ビッグダディ
・ブラッド・リー
・ボブ
・九頭
みなキャラクター性のはっきりとれた造形をしている
声優の演技・声質ともに優れている
渋く濃いメンツが揃った至極のキャスティング
男性声優ファンで渋声が好きな人は聴いているだけでも楽しいといえる
★2人
ブランドンとハリー
ベア・ウォーケンとシド・ガラルデ
男たち2人の絆
生まれも境遇も違うさまざまな男たちだが絆の強さはみな尊い
ハリーを撃とうとするブランドンはどうしても引き金をひけなかった
ケジメをつけるためシドの前にあらわれるベア・ウォーケンも同じく引き金をひけなかった
人殺しを生業としているマフィアで生きる男たちも絆で結ばれた友を撃つ事はできない
そんな人情描写の熱さもこの作品の魅力だ
★ファミリィ
この作品はファミリィというワードがたびたび登場する
ファミリィとは家族であり絆であり絶対だ
調和を重んじ裏切り者にはケジメをつける
それが鉄の掟
ブランドンとハリーはともに成長しミレニオンのファミリーとなる
だが2人はすれ違ってしまう
ブランドンはミレニオンのため
ハリーは己がかけあがるため
同じ硬い絆で結ばれたファミリィである2人は違う道を歩み始めてしまう
彼らの行く末はひどく切なく哀しいものであるが一見してほしい
★空
この作品は空の使い方が巧みだ
ブランドンたちが幼かったころ見上げた空
ハリーに撃たれ死の淵でみた空
組織に追われ瀕死となり2人で覚悟を決め、朽ち果てたアジトで見上げる空
常に青くまぶしい太陽が照らす空
2人は変わってしまったが空は変わらない
無常ともいえる演出が光る巧みな技だ
またネクロライズを開発するカノン・バルカンとブラッド・ウォー
彼らの出会いは夕空だ
これはかつて戦場をともにし、いつか自分たちが戦争をしかけようと誓った夕空と同じだ
こうした空と太陽を使った演出が随所にみられる
男たちの絆を育む背景には必ずかわらない空と太陽が覗いている
★作画
作画があやしいというコメントも見受けられるが正直贅沢な意見だと思う
たしかに人物対比やガタイのバランスなどは疑問に思うところはある
しかし、止め絵の精巧さと迫力はそれを忘れさせる
14話の2人の決別が描かれるシーンや
九頭との決闘
おそろしく魅かれる場面の作画力は郡を抜いている
これで作画が悪いという評価をつけられるのであれば
「お前はこの作品のどこをみているんだ?」
と問いかけたい。
マッドハウスのTV作品として胸をはれる出来映えであると断言する。
★脚本 黒田洋介
個人的にはこのころの黒田さんはノリにノっていた
おもしろい!
と思った作品のクレジットには必ず
「脚本 黒田洋介」
と刻まれていた
・スクライド
・ココロ図書館
・ハチミツとクローバー
このあたりは青春時代に色鮮やかに記憶に残っている
とうぜんアニメスタジオの演出と作画が組み合わさっての相乗効果なのだが
話の構成力とセリフ回し
見やすく入り込みやすい表現力
彼の功績は大きい
★1話切りしてはいけない
ここまでながながと語ってきたが1話切りしてはいけない
必ず最後までみてほしい
1話の印象は
「怪物たちを撃ち殺すなんともありきたりな作風」
というマイナスからのスタートだった
正直ここからおもしろくなる予感がしなかった
だが2話から話は一変する。
ここから1話へと続く長い過去の話が展開していく
ファンの間でも
「1話がつまらない」
という声は多数みかけられた
正直自分もこれには同意できるがここで視聴をやめるのは大変もったいない作品
★15年以上前の作品だが傑作!後世に残るべき
あまりメジャーではない作品だと思う
原作ゲームはあまり高評価でなかったのも後押ししているのかもしれない
だが本作はまぎれもない傑作だ
何年たってもおもしろいものはおもしろいのだ
15年ぶりにこの記事をおこすために見直したが本当におもしろい
こういった作品が昨今うまれにくくなっているのが非常に残念だ

第1話 「黄昏の破壊者」

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